佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】目や口の周りの腫瘍の手術について解説

目や口の周りを手術する理由

目や口の周りに、裂傷性の外傷が発生したり、慢性の外耳炎による外科治療を行う場合や、異物の迷入、唾液腺管の異常などによって手術を行う場合があります。

その他、目や口の周りに腫瘍が形成された場合には摘出するために手術を行うことがあります。

腫瘍以外の理由

上記の腫瘍以外の理由として、裂傷性の外傷が発生したり、慢性の外耳炎による外科治療を行う場合や、異物の迷入、唾液腺管の異常などによって手術を行う場合があります。

生まれつきにまぶたや口唇の形が正常ではないため、矯正するために形成外科を行うこともあります。

発生頻度としては腫瘍性の理由によって手術を行うことが多いです。

腫瘍による手術

まぶたや口唇に腫瘍ができた場合に、手術によって摘出することがあります。

まぶたの腫瘍としては、マイボーム腺腫やマイボーム腺上皮腫、肥満細胞腫やリンパ腫などが挙げられます。(通常リンパ腫に対して手術は実施しません。)

口唇には様々な体表腫瘍が形成されます。

手術によって顔の形が変わる?

目や口、肛門や耳のような、もともと穴が開いている部分を天然孔と呼びます。

天然孔周辺の皮膚を切除し縫合する場合には、術後の引きつれなどに気を付けないといけません。

顔貌は大きな切除でなければ、そこまで変わることはありませんが、気になるようであれば主治医と相談するとよいでしょう。

また、大きな切除になるほど顔貌が変化する可能性が大きくなりますので、顔貌の変化を強く気にされる方は、腫瘍が小さいうちに外科的な介入をすることを心がけることが最も重要といえます。

ただし、皮膚はコラーゲン繊維の変化によって、術後引っ張られる方向に伸びていく傾向があるため、手術直後よりも、7-10日間経過するとより自然な顔貌へと戻っていくことがほとんどです。

ただし、大きな切除となってほかの部位から皮膚を持ってきた場合には、被毛の生え方が変わってしまうことは避けられません。

また、顔貌だけでなく、機能的な面で問題が起こるとすれば、目であれば角膜障害や流涙、口であれば口唇を嚙んでしまったり、流涎で皮膚炎が発生したりする可能性が考えられます。

まとめ

目や口の周りは、そのほかの体表と比較して皮膚が限られているという点と、引きつれると見た目やその後の生活に影響が出てしまう部位であるため、外科的な介入が必要な場合には最小限で済むように速やかに行うことが重要といえます。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士

日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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