佐倉しらい動物病院ブログ

ペットのレントゲン検査について

こんにちは、獣医師の白井顕治です。

この記事では、病気の診断に際して汎用されるレントゲン検査について記事にさせて頂きます。

レントゲンというのは、放射線を用いた検査であり、外からはわからない体の中の構造を、画像にしてみることのできる検査です。

レントゲン検査の優れている点は、

〇検査時間が短いこと

〇見たい部分の周囲まで画像として映るので、見落としが少ない

等があげられると思います。

検査時間については、ペットの性格にもよりますが、通常は数分で撮影を終えることができます。

見落としについてですが、同じ画像検査の超音波検査などと比較すると、超音波検査ではより詳細に見えるという利点はありますが、視野が狭いため、見落としてしまったり、また、あまりにも大きいものは視野におさまらないため、正確な大きさを測ることができないこともあります。その点レントゲン検査ではペットの体全てを取ることができるので、たとえば大きい腫瘍の実寸が計れないということはありません。

逆に優れていない点は

〇骨に囲まれた臓器の診断は苦手(脳や脊髄)

〇ある程度大きい病変でないと発見できない(1センチ程度)

〇放射線被ばくする

等があります。

どんな時に行うかというのは、診断したい病気によって変わってきますが、病気を見つけるために行うこともあれば、除外するために行われることもあります。

レントゲン検査は通常、鎮静や麻酔を行う必要はありませんが、撮影したい部位やペットの性格によっては必要となる場合があります。

人間でレントゲン検査を受けたことがある方はわかるかと思いますが、レントゲン検査には痛みはありません。

また、通常行われる範囲のレントゲン検査では被ばくによる影響はありません。診断できるメリットと被ばく等のデメリットを比較した際には、メリットが上回ります。そのため、ご家族と相談したうえで行う検査ではありますが、デメリットを心配して検査を中止・検案することは通常、ありません。

各診療科における主な使用用途について記載すると

呼吸器科

気管支炎や肺炎、軟口蓋の過長症や気管虚脱の診断など

循環器科

心臓病による心臓の拡大や肺血管の拡張の程度など

整形外科

骨折や関節炎所見の発見、関節可動域の異常の記録など

消化器科

消化管の動きの異常の確認、閉塞の確認など

神経科

脊椎の形態や頭蓋内圧の推定など

腫瘍科

肺や腹腔内の腫瘍やその転移の有無など

泌尿器科

腎臓の形態の異常や結石の異常など、特に尿道結石の有無など

歯科

歯周病の進行の診断

レントゲン検査を行う際には、疑われる疾患をおおよそ考えてから行うことが多いです。

なぜかというと、レントゲン検査は撮影する体位や条件によってうつり方がかなり異なってくるため、似たような写真に見えても目的によって撮影条件が変わってくるので、

「何かよくわからないけどとりあえずレントゲン撮っちゃおう」ということをすると、いろんな角度からいろんな条件で撮影することとなり、検査時間の延長や不要な被曝が増えてしまうなど、いいことはありません。

当院においては、問診や徒手検査(触ったり、聴診したりする検査のことです)において、レントゲン検査が必要と判断した時に、ご家族に考えられる病気や状況を説明させて頂き、検査実施となります。

また、病院で行われるいずれの検査についても言えることですが、完璧な検査というのは存在しません。

それぞれの検査にはメリット・デメリット、得意・不得意があるため、状況によって必要と考えられる検査が異なることは良くあります。

検査についてご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。

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