佐倉しらい動物病院ブログ

尿検査を行うときの尿について

こんにちは、獣医師の白井顕治です。

この記事では、尿検査を行うときの尿の採取し方についてお話しさせていただきます。

種類から上げますと、

1、自然排尿

2、カテーテル排尿

3、穿刺排尿

の三種類に分かれます。

一昔前までは、膀胱を手で圧迫させることによりペットに排尿させる圧迫排尿という手技がありましたが、現在は膀胱破裂や膀胱内の尿が腎臓に戻ってしまうことによる腎臓感染のリスクにより、行うことは禁忌とされています。

1の自然排尿についてですが、この排尿方法が(当然ですが)最もペットに対して優しい採尿方法です。

自然にそのペットがおしっこをした時に、尿をゲットする方法です。

尿の採り方は犬か猫か、そして性別や好きな排尿姿勢、トイレの形状や年齢によって変わってきますので、採尿方法についてはまた別の記事を書かせていただきます。

通常はこの自然排尿の尿を用いて尿検査を実施し、異常がなければ「異常なし」という判断をします。

自然排尿のおしっこでたとえばタンパク尿や細菌尿が得られた場合など異常が認められた場合には、時間を空けて再度自然排尿の尿で検査を行ったり、3の穿刺排尿を行ったりして真の異常があるかどうかの判断をします。

2のカテーテル排尿は、尿道からカテーテルを膀胱内に挿入し、カテーテルを通じて採尿する方法です。

1~3の採尿方法の中ではもっともおこなわれる頻度が少ない採尿方法です。その理由として、尿の清潔度としては、一度尿道を通過したカテーテルが膀胱内に入ってしまっているため、尿道内の最近が尿に混入してしまう可能性があります。

また、カテーテルを挿入する際にかなり痛みが出ますので、そういった点でも第一に行われない手技ではあります。

カテーテル採尿が行われる主な状況としては、膀胱の腫瘍(移行上皮癌)を疑っているときの細胞採取のために行われるといったケースです。

この腫瘍は腹壁から穿刺採尿を行うと、腹筋や皮膚に腫瘍が転移してしまう可能性がある事が知られているためです。

3の穿刺採尿は病院内ではもっともおこなわれている採尿方法です。腹壁を消毒し針を膀胱に刺入し、尿を採取します。

この穿刺採尿の尿は、自然排尿の尿を用いた検査で異常が認められた時や、尿培養を行うとき、尿中微量アルブミン(タンパク)を測定する際には必須の検査材料です。採尿を行う際には特に鎮静や麻酔をかけることなく実施することができ、採尿時間も行う検査にもよりますが数秒から十数秒であるため、ペットへの負担も大きくはありません。

尿検査は定期検診として行うほかに、糖尿病や肝臓疾患のスクリーニング検査、モニタリング検査としても行われる検査です。

どのような尿で検査を行ったかということが検査結果を判断するうえで非常に重要となりますので、適切な尿で尿検査を実施しましょう。

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