こんにちは、獣医師の白井顕治です。
寒い季節になると、少し泌尿器の病気で来院されるペットが増えます。
そこで、膀胱炎の概要と症状について簡単に記事にさせて頂きたいと思います。
(※この記事での情報は、わんちゃんと猫ちゃんに共通する内容です。)
まず、膀胱炎についてですが、
膀胱炎という言葉はしっかりとした診断名ではなく、膀胱が何らかの原因により炎症を起こしている状態を指します。
炎症を起こしている原因によって、感染性、結石刺激性、腫瘍性、特発性などに分類されます。
実際には何が原因で膀胱炎を引き起こしているのかは、年齢や品種によって尿検査や泌尿器のエコー検査を行わないと明らかにすることは難しいです。
膀胱に炎症や刺激が加わると、膀胱炎の症状が出ますが、一般的に出る症状は
1、頻尿
2、血尿
3、腹部痛
となりますが、3の腹部痛はよほど長期間、重度の膀胱炎でないとあまり出ません。
膀胱炎単独では発熱などは起こりませんが、炎症が腎臓に波及してしまった場合に関しては発熱などの全身症状を引き起こす可能性もあります。
1の頻尿についてですが、
これはまずはトイレの回数が多くなることです。また、膀胱が正常に尿を貯留できないため、一回あたりに排尿する尿の量が少なくなります。
少量のおしっこを何度もしたり、何回もおトイレに行ったり、陰部を気にして舐めたりという症状です。
この症状に関して要注意ポイントなのが、結果としておしっこが出ているかどうかという点です。というのも、膀胱結石などにより、尿がつまってしまった場合にも何度もおトイレに行ったりしますので、閉塞なのか膀胱炎なのかの鑑別を行う必要があります。
また、2の血尿についてですが、
人間の眼で赤いとかピンク色に見えると確認できる尿は、かなりの量の血液が尿に混ざっています。
軽度の血尿の場合には、見た目は黄色~ややオレンジ色で、検査の機械で判定できる程度の出血となります。
この場合、尿全体がピンク色になることもあれば、血液が膀胱の底に溜まった状態で排尿を行うと、ほとんど黄色のおしっこを出してから、最後の方だけ赤っぽい尿を排出することもあります。
ちなみに血尿に関してもいくつか注意点があります。
まず、血尿の原因となる出血が、腎臓からでているのか、膀胱からでているのかということです。
尿は腎臓で作られ、尿管を通って、膀胱に貯められ、尿道を通過して体外へ排出されます。そのどの家庭で血液が混ざってしまったかというのは、見つけるのは難しい場合もあります。
次に、膀胱から出血していたとしても、必ずしも頻尿という症状は出さないという点です。
わんちゃんやネコちゃんはお腹の痛みに対して人と比べて鈍いことが知られています。そのため、膀胱で炎症が起きて出血していたとしても、必ずしも頻尿のような症状を示さないこともあるということです。
この二つを組み合わせて考えると、
頻尿と血尿がある:膀胱炎の可能性が高い
頻尿はあるが、血尿はない:膀胱炎の可能性が高い
頻尿はないが、血尿はある:膀胱からの出血の場合が多いが、腎出血の可能性もある
となります。あくまで、可能性が高いか低いかという判断しかできません。確定診断を行うためには前述のとおり尿検査や泌尿器エコー検査が必要となります。
こういったこととペットの症状を鑑みて、試験的治療を行ったり、検査を行ったりして原因を追究していきます。
膀胱炎かな?と思ったら、お気軽にご相談ください。