リンパ腫は犬と猫に発生することが多い血液の悪性腫瘍である。発生要因として様々なものがあげられているが、個々の発生原因は不明である場合が多い。一般的に悪性腫瘍は中高齢になってから発生する傾向にあるが、リンパ腫も例外ではない。しかし、中には数か月歳程度の若齢の個体にも発生するケースは存在するため、全年齢で疑うべき病気だある。
リンパ腫は病期・症状によって、皮膚型、多中心型、消化管型、腎臓型などに分類される。また、T細胞主体・B細胞主体なのか、多臓器まで犯されているかなどをもとに重症度や使用する抗がん剤の種類が異なる。
通常リンパ腫に対して手術が適応されることはなく、化学療法によって治療が施されるが、今回のケースのような消化管穿孔を起こし腹膜炎が発生している場合には手術の適応となる。
実績詳細
ミニチュアダックスフントの消化管型リンパ腫
種類 | ミニチュアダックスフント |
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年齢 | 14歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 元気がない。食欲がない。 |
症状の概要
検査結果
症例は普段は元気活発で、食欲旺盛な子であったが、突然食欲不振になってしまったため、検査を実施した。
その結果、腹部エコー検査にて、消化管穿孔を起こし、それにより腹膜炎が生じていることが明らかとなったため、緊急開腹手術を実施した。
治療方法
症例は小腸全域にかけて、複数個所に結節を形成しているとともに、一部で非常に大型の消化管穿孔を形成していた。
腫瘍の可能性が高いと判断されたため、できるだけ広範囲に切除し、断端吻合にて消化管を吻合し、閉腹した。
治療・術後経過
摘出した消化管を病理検査に送ったところ、リンパ腫という診断が得られた。
ーー病理診断ーー
検索した小腸では、円形細胞の増殖が起こっており、リンパ腫と診断されます。詳細な検討は困難となっていますが、腫瘍細胞により置換された部位から、消化管の穿孔が起こったと考えられます。
腫瘍は、大網にも広範囲に波及しており、進行した病態であったと考えられます。また消化管の穿孔により広範囲の腹膜炎も加わっいます。
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穿孔まで起こしている消化管型リンパ腫だったため、年齢と体力、術後という状況を加味してメトロノーム療法を実施することとした。
予後不良
担当医:白井 顕治
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