腫瘍の診断について見た目では判断できないためまずは細胞診を行うのが通常であるが、口腔内の腫瘍については例外です。口腔内の腫瘍は細胞診を実施しても炎症細胞や絵師組織しか取れずに、有意義な結果を得られないことが多いため、組織を検査する組織生検が必要になります。加えて、口腔内から材料を得る場合、多くのペットにおいて細胞であっても組織であっても、鎮静・麻酔が必要となるため、1回の検査でより精度の高い診断結果を得るためにも、口腔内の腫瘍に対しては組織生検が選択されます。
実績詳細
柴犬の口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)
検査結果
症例は、喉の奥に腫瘤があるという診断を他院で下され、セカンドオピニオンとして来院。
口腔内の吻側ではなく咽頭部に近かったことから、麻酔鎮静下で精査し、診断目的で切除生検をすることとした。
開口して精査すると、咽頭部に4センチほどの卵円系・黒色の腫瘤を認めたため、4ミリのマージンをつけて粘膜切除をした。
ーーー以下病理所見ーーー
切除された舌根部の腫瘤部では、豊富なメラニン色素を含む悪性の非上皮性腫瘍が形成されており、悪性黒色腫と判断されます。
腫瘍はポリープ状を呈しており、深部組織への浸潤性は認められませんが、粘膜を伝って広がっており、粘膜マージン部にも腫瘍細胞が認められます。引き続き、特に局所の状態について経過には注意が必要です。
治療方法
拡大切除や、二次診療施設(大学病院など)の受診についてインフォームドコンセントを実施した結果、NSAIDs及びイマチニブの内服のみで経過観察していくこととした。
治療・術後経過
粘膜部に発生する黒色腫の挙動は悪性であるため、予後は注意が必要である。
現在経過観察中
担当医・執刀医:白井 顕治
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