唾液瘤は、ネコと犬を比較すると、犬での発生のほうが多いとされている。炎症や唾石による唾液管の閉塞や、外傷による断裂によって形成されるといわれているが、人工的に唾液腺の導管を切断しただけでは唾液瘤は形成されないことから、正確な機序は解明されていないようです。犬に多いのは、首輪でぐいぐい引っ張ったために起こりやすいのではないかといわれています。唾液瘤は、以前は「がま腫」と広く呼ばれていましたが、腫瘍ではないため、最近では唾液瘤と呼ばれることが多くなってきています。
治療に関しては、損傷した導管を修復することはできないため、左右どちらの導管が損傷しているかを確定させ、唾液腺を切除することとなります。中には今回の症例のように、管の出口(損傷部位)が粘膜に近い場合には、解放したのみで再発しなくなるケースもあります。
実績詳細
雑種猫の唾液瘤
種類 | 雑種猫 |
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年齢 | 2歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
症状 | うまくご飯を食べれない感じがする |
症状の概要
検査結果
症例は若い個体である。うまく食べれなそうということなので、口腔内を精査すると、右舌下に腫瘤を認めた。
若齢であることから、腫瘍ではなく唾液腺に関連した異常ではないかと疑われたが、覚醒下で検査できるレベルではないため、麻酔下で精査及び処置を行うこととした。
治療方法
確認された唾液瘤。成虫ではなく、右側に偏っている。
瘤に穿刺すると、粘稠性のある液体が抜去された。
唾液瘤の中に、右の唾液腺に向かう導管を確認した。
開放創として処置終了とした。
ーー以下、切除した粘膜病理所見ーー
検索した舌下の組織では、嚢胞状の構造物が形成されており、唾液瘤(ガマ腫)と判断されます。慢性経過の変化と考えられ、嚢胞壁には顕著な肉芽組織の増生が起こっています。
検索した組織には、腫瘍性の病変は確認されません。
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治療・術後経過
今回の処置では、唾液瘤かどうかを精査するということと、唾液瘤であった場合には粘膜を開放することを目的に実施した。この処置のみで改善しない場合には右側唾液腺の切除を考えることとした。
現在経過観察中であるが、瘤の再形成は認められていない。
担当医:白井 顕治
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