佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬と猫の低アルブミン血症について:疾患や対処法など解説

犬と猫の低アルブミン血症とは

低アルブミン血症とは、血液検査をした結果、アルブミンという項目の血中のたんぱく質が正常値と比較して低下してしまっている状態です。

多くは犬で発生し、猫では比較的まれです。

低アルブミン血症はどのようにして起こる?

分類の仕方はいくつかあります。正常より低くなる理由として

  1. 肝臓でのアルブミン生産量が低下している
  2. 肝臓でのアルブミン生産量は正常である

に分類されます。②の場合、さらに正常に産生されたはずのアルブミンの量が少なくなってしまっているため、何かしらの経路で体外に漏れてしまっていることを疑います。漏れるのは3種類あり、

  • 出血による喪失
  • 尿からの漏出(腎臓に異常)
  • 便からの漏出(腸管の異常)

に分類されます。

その他として、点滴による希釈による見せかけの低下が存在します。

見分け方の一つの指標として、グロブリンの値を参考にすることもありますが、絶対的ではなく補足的情報として用います。

肝臓での生産量の低下

肝臓の機能が低下してしまった場合には、肝機能低下・肝機能不全に伴って低アルブミン血症が認められることがあります。その場合、皮膚に関しても肝皮膚症候群と呼ばれる異常が発生することもあるため、皮膚疾患から発見されることもあります。

体外への漏出での分類

体外に漏れるのは、出血か尿か便の経路になります。

出血

体表から出血している場合には、見れば出血していることがわかる状態のはずです。

血液検査をして低アルブミン血症が認められるような出血は、相応の出血量が認められるはずです。

爪を切って出てしまった程度のぽたぽた垂れるくらいの出血では発生しません。

また、出血が起こってから血液検査で低アルブミン血症が認められるようになるまでには半日程度のタイムラグが生じることにも注意が必要です。

体表以外では、消化管内や尿、呼吸器内に出血する場合もあります。その場合には喀血や吐血、血便や血尿といった症状が認められるはずです。

また、外からはわからない部位の出血として胸腔内(血胸)や腹腔内(血腹)の出血、心膜腔内(心タンポナーデ)の出血が認められることもあります。

まとめですが、出血によって低アルブミン血症が認められる場合には、多めの出血や、持続する出血が認められるはずです。

神経系の出血であれば、神経に関連する症状が主訴として優先的に出る可能性が考えられ、皮下や筋肉であれば紫斑(あざ)のような目視での変化が認められると考えられます。

尿からの漏出

尿からの漏出は、腎臓が血液を材料として尿を作成する過程で重要な栄養であるアルブミンを誤って排泄してしまっていることにより起こります。

単一の病気ではないため、この段階ではタンパク漏出性腎症(PLN)と総称されます。

ネフローゼ症候群と表現されたりすることもあります。動物医療においては腎臓生検は現段階では積極的に行われていないため、確定診断に至ることは少ないですが、糸球体腎炎や間質性腎炎または尿細管疾患に伴うことが多いようです。

便からの漏出

本来であれば栄養を吸収する役割の小腸において、炎症が発生して逆に組織液として液体が漏出してしまうことによってアルブミンが低下してしまう疾患も存在します。

タンパク漏出性腸症(PLE)と総称され、炎症性腸疾患(IBD)や消化管型リンパ腫、リンパ管拡張症や種々の腸炎において低アルブミン血症が認められることがあります。

猫での低アルブミン血症

基本的には慢性炎症や慢性の出血によっておこったり、腎疾患に関連してたくさん水を飲む多飲、そして点滴や皮下補液を実施しているような水和に対する反応として低アルブミン値が認められることがあります。

また、腎疾患としてネフローゼのような、たんぱく尿が過度に出ている場合にも低アルブミン血症が認められることがあります。こちらも血液検査において低アルブミンが認められるような尿たんぱくは、相当漏出していることが考えられます。

そのため、尿検査を実施すれば、すぐに診断できるレベルの重度なたんぱく尿であることがほとんどです。

その他

その他の理由として、輸液による希釈の可能性が考えられますが、これは動物病院で輸液を行っているかどうかという簡単な見分ける方法がありますので、病的とはしません。

まとめ

低アルブミン血症という言葉で勘違いされやすいのですが、あくまで「血液中のたんぱく質の中で、代表してアルブミンを計測している」ということなので、アルブミン以外のたんぱく質も漏出していると考えられています。

そのため、低アルブミン血症で発生するむくみや腹水・胸水の貯留のみでなく、血栓塞栓症のリスク、それに伴う突然の容態変化の可能性があることを理解して疾患を診断しケアしていくことが重要です。

いくつかの疾患は完治させることが難しいため、長く付き合っていく必要があります。病状を把握してきちんとコントロールしていきましょう。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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