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犬と猫の肝臓の腫瘍とは
肝臓に発生する腫瘍として、良性の腫瘍には肝細胞腫や結節性過形成があります。
悪性の腫瘍にはリンパ腫や肝細胞癌、胆管癌や血管肉腫、肥満細胞腫や形質細胞腫、そのほかの肉腫や、他の臓器からの転移巣などがあげられます。
健康診断で偶然発見された
超音波機器の発展と普及により、健康診断で偶然発見されるケースも非常に増えました。発見されたときの大きさや犬種・猫種・年齢やエコー上の見え方によって、経過観察~すぐに細胞診を実施するまで対応は様々です。
症状が出ていて、調べたら肝臓腫瘍が発見された
体調不良や食欲不振が認められ、精査を行った結果肝臓に腫瘍が発見されることもあります。
体調不良を起こして発見されることが多い肝臓の腫瘍としては血管肉腫やリンパ腫、胆管癌などがあげられます。
肝臓の腫瘍はどのくらい前からあった?
よく、検診で発見された場合に「これはいつからあったのか」という質問を受けます。過去に戻ることはできませんので、正確にはわかりません。
エコー上の見え方や経過観察を行っていき、成長の速度から予想していきますが、仮に悪性の肝細胞がんの場合には、2-3か月以内に発生していることが多いといわれています。
ただしこれもケースバイケースですので、あくまで参考値として受け止めていただければと思います。
肝臓に発生する、腫瘍以外の病気は?
腫瘍以外の病気として、空胞性肝障害や結節性過形成、肝炎や胆管炎、アミロイドーシスや胆管のう胞腺腫、可能性胆管肝管炎、肝リピドーシスなどがあげられます。
肝臓腫瘍の診断・治療法や治療費用は?
診断法は細胞診や生検、CT撮影や造影検査によって腫瘍の種類やステージングを行っていきます。
治療方法は外科的な摘出の適応が多くなりますが、一部腫瘍では外科的な対応が取れないため、化学療法をメインに実施していくものも存在します。
症例の体重や年齢、治療方法によって費用が決定されます。
肝臓腫瘍になった場合の余命は?
発生した腫瘍の種類、場所、ステージや組織グレード、摘出可能かどうかによって得られるであろう中央生存値が変動します。
一般的に多発性であったり、グレードが高かったり、完全な摘出が難しい場合の方が予後は不良となります。
まとめ
肝臓に腫瘍が形成された場合、多くの症例では無症状で健康診断で発見されたり、非常に大きくなってから症状が出ることによって診断されます。
発見後にどのように診断をしたり経過観察を実施していくかは、品種年齢と、エコー上の所見によってご家族と主治医が決めていく内容となります。
定期的な健康診断を実施していくことが早期発見に重要といえます。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。