目次
腎臓にできることのある腫瘍は?
腎臓に形成される可能性のある腫瘍として、肉腫やリンパ腫、腎腺癌(腎臓がん)や腎芽腫などが挙げられます。
その他の種類の腫瘍が形成されることもあります。
【雑種猫の腎臓に形成された肉腫】
膀胱にできることのある腫瘍は?
膀胱に形成される腫瘍は、膀胱の移行上皮癌(膀胱がん)やポリープなどが挙げられます。
その他の種類の腫瘍が形成されることもあります。
腎臓や膀胱の腫瘍の診断方法は?
疑いを持つためにまずはエコー(超音波)検査が実施されます。次いで、尿の遺伝子検査や細胞診が実施されます。
最終的には摘出時の病理検査をもって診断が下されます。
腎臓や膀胱の腫瘍の症状は?
腎臓の腫瘍に特異的な症状は多くありません。
もう片方の腎臓が正常に機能している場合にはかなり大きくなり圧迫によって腹水貯留や、腹膜炎によって発見されることもあります。
両側性の腎臓腫瘍となっている場合には、腎不全と同じような症状から発見されることもあります。また、血尿が認められることもありますが、必発の症状ではありません。
膀胱の腫瘍の症状としては血尿や頻尿、排尿困難などが挙げられます。高齢犬は細菌性膀胱炎の発生も多くなるため、頻尿が認められる場合には検査を実施して膀胱腫瘍を除外しておくことは重要といえます。
血尿がシート内に排泄されている
腎臓や膀胱の腫瘍の治療は?
診断される腫瘍の種類によって異なります。
多くの場合の治療の第一選択は手術による摘出となります。摘出ができないような場合には、部分的に摘出したり、放射線や化学療法を実施するなどして予後の改善を目指します。
放射線療法が第一選択となる腎臓や膀胱の腫瘍は現在私が把握している範囲では報告はありません。
腎臓や膀胱の腫瘍の治療費用は?
この部位の腫瘍については、診断費用と治療費用がそれぞれ発生すると考えられます。
診断費用としてはエコーや細胞診、遺伝子検査や、場合によってはCT検査の費用が掛かってくることが考えられます。
治療費用は、手術費用や化学療法、行う場合には放射線療法の費用が掛かってきます。
まとめ
血尿や頻尿は腎臓や膀胱の腫瘍を考える症状の一つですが、必ず出る症状ではなく、偶然検診の時に発見されることもある腫瘍です。また、犬や猫に発生する腫瘍の中では、そこまで頻度の多い腫瘍ではありません。
症状が認められた場合には、早期に検査し、治療へと移していきましょう。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。