佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬の軟部組織肉腫について解説

犬の軟部組織肉腫とは

肉腫とは、筋肉や骨、血管や繊維組織や神経鞘が悪性腫瘍化した際に用いられる単語です。悪性腫瘍であり、意味合いや受け止め方としては一般的に用いられる「癌」と受け取ってよいものです。

軟部組織が悪性腫瘍化したものを軟部組織肉腫と総称します。

犬の軟部組織肉腫の特徴

通常、軟部組織肉腫の特徴は

  1. ゆっくりと拡大する
  2. 低い転移率
  3. 高い局所浸潤性

として上げられます。

軟部組織由来の肉腫であっても、例外的に急成長したり、高い転移率を示すものもあるため、軟部組織肉腫とまとめずに独立した肉腫として表現される腫瘍も存在します。

間葉系由来ではあるが、挙動が異なるために軟部組織肉腫に含めないものの例としては、滑膜肉腫や平滑筋肉腫、横紋筋肉腫や血管肉腫、組織球性肉腫や軟骨肉腫が挙げられます。

犬の軟部組織肉腫に分類される腫瘍

良く診断される体表の軟部組織肉腫としては、繊維肉腫や血管周皮腫(血管周囲壁腫瘍)などが存在します。

犬の軟部組織肉腫の診断

軟部組織肉腫は、一般的な細胞診ではしっかりと評価できないことがあります。そのため、細胞診(FNA:針吸引生検)で診断がつかなかった場合には、局所麻酔もしくは全身麻酔下で、切除生検やパンチ生検、楔型生検など、腫瘍の一部を採取して病理組織検査を行う必要があることがあります。

また、軟部組織肉腫であると診断された場合には、腫瘍のステージングと手術計画を立てる目的として、リンパ節の評価やCT検査を実施します。

犬の軟部組織肉腫の治療

軟部組織肉腫の治療は基本的に外科治療となります。

外科治療よりも有効性が確立されている放射線療法や化学療法(抗がん剤治療)は現在(2024年、年末執筆時)は報告されていません。

外科治療は、マージン部を含めた広範な切除が必要となるため、とりあえず小さめにとっておくことは推奨されない治療となります。

広範な切除が必要となるため、場所によっては断脚の適応となることもありますが、皮膚弁を利用することによって断脚を避けることも期待できます。

当院の腫瘍化の診療実績・症例一覧

犬の軟部組織肉腫の治療費用について

軟部組織肉腫であると診断された場合には、ステージングのための生検やCT撮影時の費用と、手術費用が掛かることとなります。

腫瘍の大きさや症例の体重、年齢や病歴をもとに、病院によって変動するため、受診後に問い合わせる必要があります。

費用についてのページ

まとめ

犬の体表に形成される腫瘍としては、中程度の発生頻度の悪性腫瘍です。

一回目の外科治療の内容が重要となる腫瘍であるため、きちんと診断手順を進めて、手術を実施しましょう。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士

日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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