佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】猫の呼吸がおかしい?口を開けて呼吸をする?原因や病気を解説

猫の呼吸がおかしいかもしれない?

普段猫と一緒に暮らしていて、あんまりよく見ていなかった。でも、なんだか今日の呼吸はいつもと違う気がする・・・

この記事では猫ちゃんの呼吸についての情報を紹介していきます。

どうして異常な呼吸が起きる?

異常な呼吸が起こる理由は、大きく分けて【血中の酸素濃度の低下】と【そのほか】に分けられます。

血中の酸素濃度が低下してしまう場合、より頑張って酸素を取り込もうとするために呼吸が普段と比べて早くなります。運動や炎症で酸素消費が亢進することもあれば、肺や心臓の疾患で酸素の取り込みがうまくいかない場合もあります。

そのほかの場合には、不安や痛みなどの酸素濃度とは関係なく呼吸が早くなってしまうことがあります。

猫の呼吸困難の症状とは。呼吸困難の種類を紹介

呼吸が普段と比較して早い、苦しい状態を呼吸困難(状態や程度によって呼吸促拍や努力呼吸と表現することもあります)と呼びます。

○安静時の呼吸が早い

猫の正常な呼吸回数はおおよそ1分間あたり20〜40回(睡眠時は15〜25回前後)です。運動後や興奮時でもないのに呼吸が早いのは正常ではない可能性が高いです。

○腹式呼吸をしている

胸と言うよりお腹を動かして呼吸するのは、苦しい時の呼吸です。上記の通り、運動後以外にこのような呼吸が見られた場合は異常な可能性があります。

普段と比べて呼吸をする際に、よくおなかが動くなと感じた場合には、呼吸が荒くなっているサインかもしれません。

健康な時の動画を撮影しておくと、呼吸がおかしいと感じた時の判断に役立つこともあります。

呼吸回数に関しては、起きている間は呼吸が苦しい以外にも不安や緊張、痛みや興奮などの影響によって呼吸回数が多くなることがあります。呼吸が早く、おなかの動きも早いと感じた時には、それが運動時なのか安静時なのか、そして長く続くのか一時的なものですぐに収まるのかということも正常であるかか異常であるかの判断ポイントとなります。

○息が吸いづらそう(または吐きづらそう)

くしゃみや鼻水が出ていたり、息を吸う時に「ズーズー」「グーグー」などのような音を伴う場合もあります。

○鼻の穴を大きく開けている、または口を開けて呼吸している

ネコちゃんはワンちゃんと違い、通常鼻呼吸を行っているため口で呼吸(開口呼吸)を行うのは、非常に苦しい場合であり、大変危険なサインです。また鼻の穴を大きく膨らませて呼吸している(鼻翼呼吸)場合も開口呼吸の一歩手前の段階であり、呼吸が苦しい場合に多く見られます。

口呼吸と表現する方もいますが、症状の名前としては開口呼吸と呼びます。

稀に極度の緊張や興奮で見られる事もあります。

例外的に、まだ体力のない子猫が激しい運動後に開口呼吸をすることもありますが、ほとんどは一過性のものですぐに落ち着きます。この場合はケージなどに入れて、しばらく安静にしてあげてください。

異常な呼吸をしているときに考えられる病気

主に以下の原因が考えられます。

①呼吸器疾患

1)上部呼吸器疾患(鼻・鼻腔・咽頭・喉頭)
気道が閉塞するような状態になると努力性呼吸が認められます。
例:重度の鼻炎 外鼻孔狭窄 鼻咽頭狭窄 腫瘍 など

2)下部呼吸器疾患(気管・気管支・肺)
肺に機能的な問題が生じると、ガス交換がうまく出来ずに体内の酸素が足りない状態に陥ります。それにより、呼吸回数が早くなったり苦しそうにする症状が出ます。
また気管においては閉塞性や炎症性の病変が存在すると咳を伴ったり、努力性呼吸が認められます。
例:気管虚脱 気管腫瘍 慢性気管支炎 猫喘息 肺炎 肺水腫 肺腫瘍 など

【↑マンチカンのマイコプラズマ性鼻炎

②心疾患

心臓の働きが悪くなると、運動後すぐ疲れて息切れしてしまったり、胸に水がたまる(胸水貯留)ことで肺が十分に膨らまず呼吸が苦しい症状が出ます。
例:肥大型心筋症 拡張型心筋症 など

【↑雑種猫の拡張型心筋症

③その他の疾患

暑さや痛みであっても呼吸が早くなることがあります。また尿路閉塞により、尿が出せずに辛かったり、体内の電解質のバランスが崩れる事で呼吸様式に異常が生じることもあります。
例:熱中症 腹痛を生じるような消化器疾患 外傷、過度の緊張など

動物病院に行ったほうがいい?検査や費用は?

動物病院を受診したほうが良いかどうかは、頻度や重症度、原因によって判断が異なりますので、かかりつけの先生に指示を仰ぐとよいでしょう。

動物病院にかかる際に、すでに異常な呼吸をしない可能性もあるため、可能であればおかしいと感じた呼吸の様子を動画で撮影しておくとより的確な診療を実施する助けとなります。

行う可能性のある検査は一般的な身体検査に加え、必要に応じて血液検査(血液ガス検査や心臓バイオマーカーなども含め)やレントゲン検査、エコー検査などが挙げられます。もちろん、初診でどの検査を行うかどうかは獣医師と相談のうえで決めるべきことですので、あくまで行う可能性のある検査の例として記載していきます。

開口呼吸が著しい場合には、酸素室で落ち着かせてから検査をゆっくり進めるといった、預かり検査になる可能性も容態によってはあり得ます。

治療費用は、検査内容やその検査結果に基づいた治療によって変わってくるため、「呼吸が早いと治療費がいくら」というような表記は行うことができないと思います。

費用について

まとめ

このように猫の異常な呼吸の原因疾患は多岐に渡り、症状だけでは病気を鑑別することが難しいです。いずれにしても、猫の呼吸がおかしい場合は重篤な病気の前兆であることが考えられます。普段の診察時に、異常な呼吸の見分け方をかかりつけの先生に聞いておいたりしつつ、上記の症状が見られた場合は様子を見ずに、早めに動物病院への受診をおすすめします。

著者プロフィール

獣医師 吉川未紗

日本獣医生命科学大学付属動物医療センター 呼吸器科・腫瘍内科 研修生

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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