佐倉しらい動物病院ブログ

佐倉市|犬のアトピー性皮膚炎にステロイドは悪?賢く使う本当の理由

📌なぜステロイド=悪というイメージが広がったのか

かつて「何でもかんでもステロイド」という時代がありました。
効き目が早く、どんな皮膚病にも使われ、
逆に副作用が問題視されることも増えました。

この流れで、「ステロイドは悪」と思われるようになりました。


📌ステロイドの本当のメリットとは

しかしステロイドには大きなメリットがあります。

✅ すぐにかゆみを抑えられる
✅ 注射や内服、外用と方法が多く使いやすい
✅ 効く子と効かない子の差が少ない
✅ 薬価が安く、飼い主さんの負担が少ない

だからこそ、今でも皮膚科専門医も導入には第一選択で使っています。


📌ステロイドを隠す?実際の現場で起こっていること

最近では「ステロイドは出していない」と言いながら
実は処方しているケースも見かけます。

飼い主さんに説明せずに処方されたり、
ラベルを外して渡すなどの事例もあります。

これでは飼い主さんが正しい情報を得られません。


📌 賢い使い方|導入と漸減の考え方

ステロイドは、導入でしっかりとかゆみを抑え、
症状が落ち着いたら徐々に減らしていくのが基本です。

当院では、内服薬だけでなく外用薬でも、
「これはステロイドだからね」と必ずお伝えしてお渡しします。

なぜなら、効き目が強い分、
塗りすぎればステロイド皮膚症という副作用が出ることがあるからです。

「ここまでは塗ってOK、この間隔でやめましょう」
とお伝えすると、飼い主さん自身が副作用を防ぐことができます。


もし説明せずに渡してしまえば、
「効かない?もっと塗ろう」と頑張ってしまい、
逆に副作用がひどくなり、かゆみも増してしまうことがあります。

実際に、他院でそうなってしまった子が、
当院に転院して回復したケースも少なくありません。

外用薬によるステロイド皮膚症を呈して来院した症例

雑種犬のステロイド皮膚症
ステロイド剤はアレルギー性皮膚疾患の治療をする際に、かなり高い頻度で使用する薬剤であるが、過度に使用をすると皮膚組織の萎縮を起こし、バリア機...


ステロイドは怖い薬ではありません。
隠さず、正しく使うことが大切です。


📌ステロイド以外の選択肢と組み合わせる意味

漸減してもかゆみが残る子には、

✅ スキンケア(薬浴など)
✅ 食事療法
✅ アポキルやシクロスポリン
✅ サプリメント

などを組み合わせ、最適なラインを探します。


📌 当院の考え方と実際の治療例

局所療法のステロイド剤を使用して良好にコントロールできたアトピーの症例

フレンチブルドッグの指間に形成されたアトピー性皮膚炎とマラセチア性皮膚炎
フレンチブルドッグは毛質がもろく、毛根が深いため、炎症が起こった際により深部から腫れることがある。かゆみと、なめたことによる刺激、マラセチア...

初期にステロイド剤で導入し、漸減して非ステロイド性の薬剤に切り替えて言った症例

アトピー性皮膚炎に罹患しているシーズーのアカラス症
アトピー性皮膚炎は慢性的な皮膚バリアの異常を起こすため、本症例のようなアカラス症や細菌感染・真菌感染などの続発症を起こしやすい。アトピー性皮...

📌まとめ|何を選ぶかは飼い主さんと一緒に決めます

ステロイドは怖がるだけの薬ではありません。
正しく使えば大きな助けになります。

だからこそ、治療法を一緒に考えて、
納得して続けていける方法を探しましょう。

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著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士

日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医

ステロイドを隠さず、正しく付き合うことが一番の近道です。何でも相談してください。

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