膵外分泌不全症(EPI)は典型的には純血種の中年齢の犬に比較的好発し、良好に維持ができれば予後はよいとされている病気です。下痢の原因は膵酵素の不足やそれによる腸内細菌叢の変化、膵酵素不足により血中コバラミン濃度が低下することなどがあるため、その症例によって下痢が出ている本当の理由は異なるため、膵酵素の補給のみでは改善が認められないこともあります。
専門医によっても意見が分かれますが、適切に膵酵素が補給されていれば、食事の内容は通常のメンテナンスフードでよく、低脂肪食にする必要はありません。また、食事の度に膵酵素を添加することが重要であるため、食事の回数を細かくする必要はなく、維持期に入った場合には1日2回の食事で良港に体重を維持することができます。
実績詳細
サプサリの膵外分泌不全の内科療法
種類 | サプサリ |
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診療科目 | 消化器科 |
症状 | 重度に痩せてきた、下痢がひどい |
症状の概要
検査結果
下痢が数か月間改善しないため、セカンドオピニオンとして当院を受診
身体検査の結果、症例は重度に削痩しており(BCS1~2)、これまでに下痢に対する治療を行ってきたものの一時的には良くなるが改善は長続きせず、体重は減少し続けているとのことだった。
症例の意識レベルは元気闊達であり、下痢はあるものの、この数カ月で嘔吐はほとんどなかった。
腹部超音波検査や血液検査を実施したところ、膵外分泌不全症(EPI)の可能性が高いと判断されたため、トリプシン様活性物質(TLI)とコバラミン(ビタミンB12)の濃度を測定したところ、ともに重度の低値が認められたため、膵外分泌不全症と診断された。
治療方法
膵外分泌不全の治療として、膵酵素の補給と抗生剤の投与、コバラミンの注射を行った。
症例は直ちに治療に反応して、下痢が改善され、体重の上昇が認められた。
また、定期検診としてコバラミンの濃度を計測していき、注射の頻度を決定した。
治療・術後経過
治療経過とともに、抗生剤を休薬し、現在は膵酵素と定期的なコバラミンの注射を実施して容体は安定している。
経過良好
担当医:白井 顕治
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