典型的には犬の子宮蓄膿症(パイオ)は未避妊の雌の発情後に発生が多いとされる。ホルモンの状況により子宮内に膿が多く蓄膿する閉鎖型の子宮蓄膿症と、開放しており、陰部より排膿が認められる開放型の子宮蓄膿症が認められる。子宮内への蓄膿が多い閉鎖型では重篤になりやすいため、本症例のように術前に排膿することができると症例の負担は少なくなるといえる。ただし、ホルモン注射による排膿は反応率が100%ではないため、うまく排膿がされない症例も存在する。
実績詳細
チワワの子宮蓄膿症に対するホルモン剤を用いた排膿処置
検査結果
症例は中年齢の未避妊メスであった。
他院にて腎不全と診断されたため、当院を受診。検査を行った結果、子宮蓄膿症であることが分かったため、状態を安定化させたのちに手術を実施することとなった。
治療方法
状態を安定化させる目的で点滴及び内科療法を実施した。
加えて、本症例は子宮内に著しく蓄膿をしている子宮頚管が閉鎖しているタイプの子宮蓄膿症であったため、ホルモン剤を用いた排膿処置を試みた。
注射翌日より症例は陰部から大量の排膿をすることができ、容体はより安定した。
治療・術後経過
容体(腎機能数値)安定後、手術を実施して卵巣及び子宮を摘出した。
ーーー以下病理検査所見ーーー
子宮:化膿性子宮内膜炎(子宮蓄膿症)
卵巣:著変なし
子宮では、慢性的な化膿性炎症が認められます。子宮内膜の過形成に二次的な細菌感染が起こったために蓄膿に至った病変と考えられます。腫瘍性の病変は認められません。
両側の卵巣では明らかな病変は認められません。
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術後の血液検査においても腎機能数値は正常範囲に改善されたため、治療終了とした。
担当医・執刀医:白井 顕治
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