胆嚢粘液嚢腫が発見された場合に、同時に肝臓の酵素の値が高いことがある。肝酵素値の高値が胆嚢疾患に由来するのか、独立した肝臓の異常なのかを見極める目的で、肝臓の生検を実施しておくことは有用であると判断されている。
実績詳細
チワワの胆嚢壊死と慢性胆管肝炎
検査結果
症例は元気食欲がなく、胆嚢疾患を疑っていたため精査を目的に他院から紹介された。
エコー検査において、胆嚢粘液嚢腫が認められ、胆嚢周囲に腹膜炎所見が認められることから、胆嚢壊死が起こっている可能性が考えられた。
治療方法
ご家族と相談を行い、状態を安定させたのちに手術を実施することとなった。
胆嚢周囲は黄色くなった変性した脂肪が確認された。
摘出された胆嚢内の粘液
胆嚢摘出後、肝臓生検を行い手術終了とした。
治療・術後経過
症例は術後より一般状態が改善し、退院となった。
ーーー以下病理検査所見ーーー
胆嚢では、粘膜は広範囲の壊死に陥っています。胆嚢内には粘液貯留が起こっており、胆嚢粘液嚢腫から壊死に陥ったと判断されます。
肝臓では、肝内胆管の拡張が起こっており、慢性的な胆汁のうっ滞により、上行性に起こった肝臓の変化と推測されます。肝内胆管にも粘液の貯留が起こっていますが、肝臓実質への炎症の波及は認められません。
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症例は術前から肝酵素値の高値が認められていた。
手術から1か月後に血液検査を実施したところ、高値が認められていた肝酵素値が全て正常値範囲内になったため、胆嚢疾患の影響での慢性胆管肝炎が発生していたと判断した。
経過良好とし、治療終了とした。
担当医:白井 顕治
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