肥満細胞腫は、組織中に存在し、主にヒスタミンを産生したりする肥満細胞という細胞が腫瘍化してしまうことによりおこる腫瘍性疾患です。猫においては内臓に発生する内蔵型と皮膚に形成される皮膚型とに大別されます。
皮膚型の場合、特に頭頸部に発生することが多い腫瘍で、摘出できる数・サイズである場合には第一選択の治療は外科手術となります。
内蔵型・皮膚型共に、そこに腫瘍が存在して多臓器を圧迫するという以外に、ヒスタミンの脱顆粒による血圧の変動や掻痒感、胃潰瘍などが腫瘍随伴症候群として現れることがあるため、経過を観察する際には体調不良なのか腫瘍随伴症なのかを見極める必要があります。
実績詳細
猫の体表に形成された肥満細胞腫
種類 | 雑種猫 |
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診療科目 | 内科 腫瘍科 |
症状 | 頭にできものができている |
症状の概要
検査結果
頭頂部に直径7mmほどの腫瘤が形成されており、本人は特に気にしていない様子であった。
表皮はやや脱毛していたが発赤や圧痛はなかった。
試験的にステロイド剤を使用したところ、腫瘤は完全に消失したが、休薬すると同じ部位に再び形成された。
以上のことから、リンパ腫もしくは肥満細胞腫などの腫瘍性病変の疑いが持たれたため、鋭匙を用いて細胞診を行った。
ーーー以下細胞診結果ーーー
肥満細胞が一様性に多数得られていることから、肥満細胞腫が考えられます。猫の肥満細胞腫は犬に比べて悪性度が低いことが多いですが、ごく稀に転移することがあり、また多発性に病変が形成されることもあります。
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治療方法
診断時にご家族と相談した結果、内科療法及び抗がん剤治療で様子をしていくこととした。
ステロイド剤、抗ヒスタミン剤および抗がん剤とそれに対して副作用が生じた場合には支持療法を行って経過を観察していった。
治療・術後経過
内科療法開始後13カ月が経過し、頭頸部に腫瘤が多く発生し、症例は掻痒を呈しているが、元気および食欲は維持している。
今後も内科療法で経過を観察していく。
担当医:白井 顕治
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