猫の口腔内疾患としては、歯周病というより口内炎が一般的であるため、猫の根尖周囲膿瘍は犬と比較するとまれである。本症例においても開口検査時に排膿しなければ、原因の発見は遅れた可能性がある。いずれにせよ歯周病が原因となる病態のため、根尖周囲膿瘍となった歯の根本的な治療は麻酔下での抜歯処置となる。
実績詳細
雑種猫の歯周病による根尖周囲膿瘍
検査結果
症例は呼吸が早いという主訴で来院。
視診で観察していると、腹式呼吸を呈していた。心雑音はわずかしか聴取されなかった。
開口させ口腔内を観察していると左頬部から排膿が始まった。
排膿の位置と量、そして口腔内から歯列を観察したところ、重度の歯周病に罹患して位置と一致していた。
また、排膿後には呼吸様式が落ち着いたため、根尖周囲膿瘍の蓄膿による痛みによって呼吸促拍になっていたと考えられた。
口腔内歯列
頬部洗浄後
治療方法
ご家族と相談した結果、高齢であるということと、持病があることから麻酔をかけての処置はせずに、洗浄および内科療法にて経過を観察していくこととした。
治療・術後経過
1週間後には排膿した穴はふさがっていた。今後も再発する可能性が考えられるため、注意深く経過観察していく。
担当医:白井 顕治
お気軽に
ご相談ください
志津しらい動物病院043-462-1122 受付時間 9:00~11:30 15:00〜18:30
佐倉しらい動物病院043-483-1212 受付時間 9:00~11:30 14:00~17:30