犬における糖尿病はインスリンが不足するタイプのもののため、基本的にインスリンによる治療の適応となる。糖尿病を管理する際には、糖尿病による合併症を引き起こさないことと、インスリンによる低血糖を起こさないという点に注意する必要がある。また、膵臓のインスリン分泌機能が低下するために起こった糖尿病であっても、発症から時間が経つと、わずかに体内で産生されていたインスリンもなくなるため、治療している期間が長くなるとインスリンの必要量が変化してくるということも認められます。
犬における糖尿病は基本的には障害治療が必要なものとなりますので、こまめに定期検診を行って管理していきましょう。
実績詳細
トイプードルの原発性糖尿病管理
種類 | トイプードル |
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年齢 | 5 |
診療科目 | 内科 |
症状 | 最近痩せてきた。水を飲む量が多い。毛が薄い。 |
症状の概要
検査結果
身体検査初見として、症例は非常に痩せており(ボディーコンディションスコア1〜2/5)、やや不活発であった。
多飲多尿を呈しているということから、血液検査を行った結果、血糖値が550であり、尿中にも糖分が認められた。
この段階で糖尿病という診断を行ったが、原発性なのか続発性なのかを精査するために追加の血液検査や腹部超音波検査を実施した。
副腎の疾患や膵臓疾患に続発して起こるような、続発性糖尿病ではそれらの管理が非常に重要になってくるための検査であったが、異常は認められなかった。
診断:原発性糖尿病
治療方法
レギュラーインスリンを用いて血糖コントロールを行った。
血糖値曲線を作成し、12時間おきにインスリンの投与を実施し、投与量を決定した。
また、食事は糖尿病食に変更した。
入院中は面会時にご家族にインスリン注射の練習をしてもらい、注射などを含めて自宅に迎え入れられると判断した段階で退院とした。
治療・術後経過
現在、低血糖や多飲多尿も引き起こしておらず、ケトン体の検出もされていない。
良好にコントロールできている。
また、現在のところ、糖尿病性白内障は発症していないが、糖尿病に罹患したわんちゃんでは糖尿病性白内障の発症率が高いため、注意して経過を観察していく。
担当医:白井 顕治
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