胆嚢摘出の適応症例としては、胆嚢破裂や胆嚢腫瘍、胆嚢炎などが挙げられる。胆嚢破裂原因としては、胆嚢粘液嚢腫によるものが最も多いがこの症例のように慢性胆嚢炎によって破裂してしまうケースも存在する。
症状は主に嘔吐や下痢、食欲不振や腹痛のような消化器症状が主である。黄疸が出ることも多いが、胆管の疎通の程度で、黄疸が重度のものから、ごく軽度であったり、黄疸が認められない症例もいるため、黄疸の有無は重要な指標ではあるが、黄疸のみで判断することはできない。
実績詳細
ミニチュアダックスフントの慢性化膿性胆嚢炎による胆嚢破裂
種類 | ミニチュアダックスフント |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 消化器科 |
症状 | 食欲がない |
症状の概要
検査結果
症例は普段は食欲旺盛な個体であったが、食欲が2割程度になってしまった。嘔吐も認められるため、精査のため検査入院となった。
検査の結果、腹水の貯留と黄疸が認められ、胆嚢が正常位置から有意に変異した位置に存在し、壁が不鮮明であることから胆嚢破裂が示唆された。
ご家族と相談し、開腹手術を行うこととした。
治療方法
黄疸は認められるものの、ごく軽度であった。
腹腔内は重度の出血を伴う腹膜炎が起こっており、胆嚢は横隔膜に強固に癒着していた。
そのため、症例が症状を出したのはこの数日だが、異常はもっと以前から存在していた可能性が考えられた。
胆嚢に穴が開いている部分が認められたため、術前の評価通り、胆嚢破裂が起こっていた。
胆嚢を摘出して手術終了となった。
治療・術後経過
症例は手術2日後から症状が改善し、退院となった。
術後8日目に抜糸を行い、治療終了とした。
ー--以下病理所見ー-
検索した胆嚢は、広範囲の潰瘍や壊死を呈し、慢性経過の顕著な化膿性の炎症が形成されています。胆泥の刺激や細菌感染により引き起こされた変化と考えられます。胆嚢壁の構造は不明瞭となっており不完全な破裂を繰り返していたと推察されます。
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担当医・執刀医:白井 顕治
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