猫の皮膚肥満細胞腫は数か月齢から高齢期までいつでも発症が認められる。
それに対して脾臓型肥満細胞腫は10歳程度から発生率が増加することが知られているが、本症例は6歳であり比較的若齢での発症であった。
猫において皮膚肥満細胞腫が多発する場合には、原因となる病変が皮膚ではなく脾臓に隠れていることがあるため、注意して探索することによって発見する必要がある。
実績詳細
雑種ネコの脾臓型肥満細胞腫
種類 | 雑種ネコ |
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年齢 | 6歳 |
診療科目 | 腫瘍科 |
症状 | 皮膚に肥満細胞腫ができている。他院で手術を実施したが、また再発した。 |
症状の概要
検査結果
症例は頭部に肥満細胞腫が形成され、1か月ほど前に他院にて切除手術を実施されている。その際に皮膚肥満細胞腫という診断を受けていた。
この度、第一手術部付近に再度しこりが形成され、他院にて細胞診を実施したところ、再び肥満細胞腫疑いという結果が出たため、当院を受診。
体表皮膚に肥満細胞腫が多発していることから、脾臓型肥満細胞腫の皮膚転移を疑い、脾臓を超音波検査において検索したところ、脾臓内に腫瘤を認めたため細胞診を実施した。
ーーー以下細胞診所見ーーーー
多数の肥満細胞が得られていることから、肥満細胞腫と考えられます。猫の脾臓に発生する肥満細胞腫は、脾臓を摘出することで生存期間が延長するとの報告がありますが、肝臓や腹腔内リンパ節、体表などへ転移することもあります。
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治療方法
脾臓細胞診により、脾臓に肥満細胞腫があることが確認されたため、ご家族と相談したうえで脾臓摘出を実施した。
脾臓外観
脾臓摘出後。出血は認められない。
摘出された脾臓
治療・術後経過
脾臓摘出後、ご家族と相談した結果追加の抗がん剤や抗腫瘍薬の使用はせずに経過観察を行うこととなった。
ーー以下病理所見ーー
摘出された脾臓の病変は、肥満細胞腫と診断されます。ネコの脾臓に発生する内臓型の肥満細胞腫は悪性度の高い腫瘍です。脾摘により生存期間が延
長すると報告されていますが、引き続き、全身状態について経過には注意が必要です。
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現在経過観察中
担当医・執刀医:白井顕治
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