会陰尿道瘻造瘻術は主に尿道閉塞を繰り返すオス猫に適応される術式である。オス猫の尿道は細く曲がっているために閉塞が起こりやすいためにできた手術である。肛門と陰茎の間(会陰)に尿道の出口を作ってあげることにより、尿道閉塞を起こらなくして挙げることが本手術の目的である。
手術を行うことによって1~2ミリ程度、場合によっては3ミリ程度の結石であれば膀胱内に放置しておいても自然に排泄されるようになる。
本手術を行うメリットとしては、尿路閉塞が起こらなくなるということと、尿結石用のフードにしなくてもよくなるということが上げられる。前述のとおり、尿結石ができたとしても1~2ミリ程度であれば自然排泄されるためである。尿路閉塞を繰り返して本手術の適応となるような症例は様々な程度で慢性腎障害が始まっていることが多いため、当院においては術後には腎臓病用の両方食を勧めることが多い。
注意点として、閉塞の原因が繰り返す膀胱結石の場合にはほぼ再発すないが、特発性膀胱炎が原因で起こってしまっていた場合には、特発性膀胱炎の結果として起こる尿道閉塞は予防することができるが、膀胱炎自体は予防できないため、膀胱炎が発生した場合にはその都度治療が必要となることに留意して手術を受けることが事前の理解として重要である。
実績詳細
雑種猫の会陰尿道造瘻術
種類 | 雑種猫 |
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年齢 | 2歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 泌尿器科 |
症状 | 以前より尿路閉塞を繰り返している。 |
症状の概要
検査結果
症例は以前から尿路閉塞を繰り返しており、何度か尿カテーテルを設置して閉塞を解除している。
今回再び閉塞してしまったため、会陰尿道造瘻術を実施することとなった。
治療方法
術前の外観
尿道を露出し、尿道が広くなる尿道球腺レベルまで尿道を切開し、会陰部に尿道を造瘻する。
包皮粘膜を使用することにより、術後の再閉塞を予防する。
治療・術後経過
術後三週間の外観
術後4週間後
術後より自力排尿が認められている。
炎症もなく尿もよく出ているため、この手術に関しては治療終了とした。
繰り返す尿路閉塞の根底的な原因は特発性膀胱炎であるため、そちらに関しては頻尿や重度の血尿が出たときのみ治療対象として、環境を改善しつつ再発回数を減らすことを目的に維持治療していくものとした。
担当医・執刀医:白井 顕治
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