指先が腫大している場合には、痛みを強く感じて破行を呈することもある。また、場合によってはエリザベスカラーを長期間着用する必要が出ることもあるため、診断および治療は速やかに進めていくことが重要といえる。本症例では速やかに行うために組織生検を行ったが、組織生検段階では正しい結果を得ることができずに手術に踏み切るまでの時間がかかってしまったケースである。
実績詳細
雑種猫の悪性末梢神経鞘腫
検査結果
症例は指が腫れているという主訴で来院した。
診断を行うためにパンチ生検によって組織生検を実施したが、肉芽腫性炎症という結果が得られた。
そのため、消炎治療と刺激を減らす工夫を行っていたが、腫瘤が徐々に拡大してきたため、ご家族と相談し断指を行い切除生検を実施することとなった。
治療方法
出血予防措置を施し、断指を行った。
治療・術後経過
手術2週間後に抜糸を行いエリザベスカラーを外すこととした。
症例は術前と比較して活動性が上昇し、段差などにも積極的に登れるようになったとのことであった。
ーー以下病理所見ーーー
左指端の組織では、非上皮性の悪性腫瘍が形成されており、肉腫と判断されます。免疫染色でS100に陽性を示しており、悪性末梢神経鞘腫瘍と判断されます。
マージン部まで数ミリ以下と近接していますが、腫瘍の境界は明瞭です。悪性傾向を示す腫瘍であることから、引き続き、局所の状態について経過観察をお勧めします。
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年齢を鑑みて、ご家族と相談した結果、術後は経過観察を続けることとした。
現在経過観察中
担当医・執刀医:白井 顕治
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