ネコにおいて胆管癌が発生すると、しばしば皮膚病変を出すことがある。そのため、皮膚病変から肝臓の疾患を発見することもあるため、鑑別疾患の一つに入れておくことが重要である。
実績詳細
雑種猫の胆管癌
検査結果
症例は元気消失、食欲低下を主訴に来院した。
また、皮膚症状として体表の複数個所に壊死病変を呈していた。
腹部超音波検査の結果、肝臓に複数の腫瘤が認められた。
ご家族と相談した結果、診断および現状把握のためのCT検査及び生検を実施した。
治療方法
皮膚病変の様子
腹腔内にも複数の転移病巣と考えられる結節が形成されていた。
肝臓および皮膚の組織を生検した。
ーーー以下病理所見ーーー
肝臓では、悪性の上皮性腫瘍(腺癌)が形成されています。肝臓に腫瘤が確認されていることから、胆管癌の可能性が高いと考えられます。腫瘍の境界はやや不明瞭で、マージン部に近接して腫瘍細胞が認められます。また、複数の病変が形成されており、肝内転移や腹腔内播種が起こっていると考えられます。非常に悪性度の高い腫瘍であることから、引き続き、転移の拡大や全身状態などについて経過には注意が必要です。
皮膚では、腫瘍細胞の浸潤は認められませんが、全層性の壊死が起こっています。虚血性の変化と考えられ、組織内には病因は確認できませんが、血栓の形成が起こっていると考えられます。皮膚の脱落などが起こる可能性があります。全身状態について注意が必要です。
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治療・術後経過
所見の結果より、肝臓に発生した胆管癌が腹膜播種をおこし全身性に血栓塞栓の兆候を呈しているため、予後には注意が必要との結果である。
対症療法を中心に経過を観察していった。
担当医:白井顕治
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